
厚生労働省は、令和7年度においても7月を「化学物質管理強調月間」、6月をその「準備月間」と定め、労働災害防止に向けた取り組みを推進しています。近年の労働安全衛生法改正により、化学物質管理は「法令準拠型」から、事業場が自らリスクを評価し対策を講じる「自律的な管理」へと大きく転換しました。
本記事では、提供された実施要綱に基づき、安全衛生担当者がこの期間に実施すべき具体的な事項と、自律的管理を定着させるためのポイントを解説します。
1. 令和7年度 化学物質管理強調月間の概要
本強調月間は、化学物質による労働災害を防止するため、事業場における自律的な管理体制の確立を目的としています。
- 準備月間: 令和7年6月1日から6月30日まで
- 強調月間: 令和7年7月1日から7月31日まで
- スローガン: 「化学物質の自律的な管理、着実に進めて労働災害をゼロにしよう」(仮)
この期間中、各事業場では日常の安全衛生活動をさらに強化し、特に「自律的な管理」への移行状況を総点検することが求められています。
2. 「自律的な管理」への転換と義務化された事項
改正安衛法の施行により、リスクアセスメント対象物(約2,300物質)を製造・取り扱う全ての事業場において、以下の事項が義務化されています。
① 化学物質管理責任者の選任
リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う事業場では、管理の司令塔となる「化学物質管理責任者」の選任が義務付けられています。強調月間では、選任の有無だけでなく、その職務が適切に遂行されているかを確認する必要があります。
② リスクアセスメントの実施とばく露防止
対象物質による危険性・有害性を特定し、労働者がそれらにばく露される濃度を基準値以下に抑制しなければなりません。
- 代替物質への変更
- 発散源の密閉化、局所排気装置の設置
- 作業方法の改善
- 有効な保護具の使用
これらを優先順位に従って実施することが重要です。
3. 安全衛生担当者が取り組むべき「重点実施事項」
実施要綱では、特に以下の項目を重点的に実施するよう求めています。
リスクアセスメント結果の周知と教育
SDS(安全データシート)に基づき、労働者に対して以下の情報を周知徹底します。
- 使用する化学物質の危険性・有害性
- 適切な取り扱い方法と緊急時の対応
- リスクアセスメントの結果に基づき講じた措置の内容
適切な保護具の選択と管理
エンジニアリング対策(局所排気装置等)だけでは十分な抑制が困難な場合、皮膚や眼への接触防止、吸入防止のための保護具(手袋、眼鏡、呼吸用保護具等)を適切に選択・使用させなければなりません。
また、保護具の保守管理状況や、労働者が正しく着用しているかの点検も含まれます。

4. 労働災害防止に向けた情報の活用(SDSとラベル)
化学物質の適正な管理には、情報の「伝達」と「活用」が不可欠です。
- ラベル表示の確認: 容器に貼付されたラベルにより、一目で危険性が認識できる状態かを確認します。
- SDSの最新化: 化学物質の譲渡・提供を受けた際は、最新のSDSを入手し、常に労働者が閲覧できる場所に備え付けます。
- 雇入れ時・作業内容変更時の教育: 新規作業者や異動者に対し、取り扱う化学物質の特性を十分に教育します。
まとめ
令和7年度の化学物質管理強調月間は、自律的管理体制を形骸化させず、現場に定着させるための重要な節目となります。
安全衛生担当者の方は、この期間を利用して、自社のリスクアセスメントが実態に即しているか、保護具の管理に不備はないか、そして何より「現場の労働者にリスクが正しく伝わっているか」を再点検してください。
詳細な実施項目や法的根拠については、以下の厚生労働省通知(PDF資料)を必ずご参照の上、事業場内での周知に努めてください。
引用元:令和7年度 化学物質管理強調月間等の実施要綱(厚生労働省)
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記事のテーマ:
令和7年度 化学物質管理強調月間等の実施要綱の解説、法改正に伴う自律的化学物質管理のポイント
ターゲット読者:
化学物質を扱う事業場の安全衛生担当者

